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2005年9月29日 (木)

アンブレイカブルミュージック( from 刻)

 とっくにぶっ壊れた彼女の右眼はいつまでも゛昨日゛を再生し続け、ぼくはと言えばそれに気付かないまま黙って泣くのをこらえていた。

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2005年9月26日 (月)

風見鶏館談雑記( from 桜也&天河&秋人&極)

「この話を始める前に、だ」
桜也(おうや)が、いつも浮かべているニヤニヤ笑いを消した。
古くなった蛍光灯が一度、二度と瞬く。
「もったいぶるなよ、何を言おーとしゃべるんだろ」
せかすのは天河(てんが)。鋭い視線を周りに投げている。
「一つだけ、頼みを聞いてほしいんだ」
「だから早く本題に入れよ」
「あっはは」
「何がおかしいんだよ極(きわむ)」
「いや、ホンマせっかちやな天河は。夜は長いし、桜也にもなんや、考えがあるみたいやで?」
一語一語ですき間を埋めていくような極のセリフに、「ヘッ」と天河が悪態をついた。
「……続けるよ?これからぼくはひとつの話をする」
「おう」
「ぼくが話終わって『おしまい』って言ったら……なんでもいい、笑ってほしいんだ」
「メンドくせぇな」
「変わった趣向やな」
二人が正反対の反応を返した。
「ちょっとヤバイ話だからね、それで流しちゃいたいんだ」
「大げさだな」
「まあね。とにかくぼ『おしまい』って言ったら『オハナシ』はそこまで。オッケ?」
「はいはい」
「ええよ」
「……」
「秋人は?」
「ああ」
今までずっと黙っていた少年は、やっぱりひどく静かに頷いた。
「エレベーターに乗ろうと思ってボタン押してさ、待ってると箱が降りて来て扉が開くよな。で、ぼくが乗り込む」
桜也はそこで言葉を切ってほかの3人を見回す。いつも好奇心をたたえた猫のような表情が今日は不思議と瞳の奥に鳴りをひそめている。
「で、ぼくが行きたい階を押すよね」
「……」
「そうするとさ、もう一度扉が開くことってないか?」
桜也の疑問は、けれど誰にも向けられていなかった。
「一度開くのはぼくが『箱』を呼んだから。でも、二度めは?あれはなんで扉が開くんだ?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……?」
「……」
「……?」
「……」
「?」
「……」
「!?」
「……」
「オイ」
「なに?」
「続きはよ?」
「続きは……ない」
「はぁ?じゃあとっとと『しまい』って言えよ。お前のマヌケ面ごとこのクソくだらねぇ話を笑ってやるよ」
天河があからさまな苛立ちを滲ませたままで桜也を睨みつけた。
「残念だけど、ぼくはそのセリフを言わないし言えない。『オハナシ』は終わらない。ぼくたちは巻き込まれたんだ」
「んだと!?」
「騒ぐなよ天河。極と秋人を見習えって」
振り返った天河は、部屋に吊られた蛍光灯の光を鈍く反射するばかりの二揃いの眼を認めた。
「ほら、耳を澄ませてみなよ。聞こえるだろ?箱に続く、扉が開く」

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2005年9月21日 (水)

過去( from 神前葵&九条剣介)

「星に願いを」
「キミにこたえを」

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2005年9月20日 (火)

こくはくの欠片( from 旧月晴音&織部香緒美)

「世界を好きになんてなれない」
「それでもハルはここにいる」

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2005年9月19日 (月)

似た者同士(九条剣介&旧月晴音)

「もう少し素直になりなよ中学生。君の得意な計算は、君の足を止めてるぜ」
「……あんた、ムカつく」

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クロックワークプラネット( from 刻<きざむ>&創菜<きずな>)

ぼくらを結び付けた運命なんてものがあるとすれば、たぶん同じ孤独を共有していたんだと思う。
時計のリズムで回転を続けるこの星で、ぼくらは歩調の合わせられない足をお互いに引きずっていたんだ。

「そんなもの共有してないよ。勝手に決めるな」

創菜(きずな)の声が降ってきた。ぼくはノートを閉じる。

「覗くなよ」
「のぞかれて困るようなもの、書くほうが悪いんじゃない?」

ぼくは時計のリズムに追いつけず、創菜は時計の一歩先をしか歩けない。
それでも、
今ぼくらは一緒にいる。

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2005年9月14日 (水)

牙の研ぎかた(旧月晴音&望月新)

「『飛びぬけて見えるもの』こそをクズどもは天才だの、救世主だのと呼んでありがたがりやがるのさ。誰も『本当に飛びぬけたもの』なんざ望んじゃいない。判るか旧月晴音?」
「『適温のカリスマ』……」
「ッヒャッヒャ、判ってるじゃねぇか。その通り、だからお前はどこまで行っても独り。上等だ、独りで歩けねぇ奴にどれほどの価値がある?しかし、だ、旧月晴音。だからこそ独りの奴同士なら肩組んで歩くべきだと思わねぇか?お前に必要なのは足かせのクズどもじゃない。同じ場所に立てる相棒だ。判るだろ?」
「……よく判る」
「話の早い奴は助かるぜ」
「判ったからその口を閉じやがれゲス野郎」

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2005年9月 6日 (火)

鈍色の虹色( from 神前葵&オズワルド・クリストファ)

「本気でおっしゃってるとしたら、部長」
「と、したら?」
「私は『上司』の意味から『聡明』と『アドヴァンテージ(前を征く者)』という意味とを取っ払わなくてはなりません」

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2005年9月 5日 (月)

ありすいんわんだーらんど( from 奏絵&創)

「目を醒ませって言われても、わたしは眠ったことなんてない」
「醒めて見る夢なんて…たちが悪いだけだね」

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2005年9月 4日 (日)

憧れ( from 九条槍司&九条剣介)

「立てる?」
「甘く見るな」
「歩ける?」
「甘く見るなと言っている」
「じゃあついてこいよ。たまには、いいんじゃねぇの?」
「……?」
「誰かの背中を見ながら歩いたことなんてないだろ、兄貴?」

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未来の名残( from 九条槍司)

あの約束は少しずつ擦り切れて、ずいぶん小さくなっちまったけど、手の平にちゃんと残っていた。
大丈夫。
俺はまだお前を忘れちゃいない。

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2005年9月 1日 (木)

羽根の行方( from 九条剣介&織部香緒美)

「君を消してしまうことにした」
  必要最小限にだけ唇を動かして短い言葉を切ったのは決意の揺らぎを止めるため。
  気持ちが震えるのを隠すため。
  目は彼女に向けたままどこか遠くで焦点を結ぶ。
  僕はそんなに強くない。5年の月日も、僕をそこまでは変えてくれなかった。
「それは…素敵な考えですね」
  面影を残したままで美しく成長した少女。
  彼女の目は、僕だけを見ていた。

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