« 希望の軌道( from 晴音&香緒美) | トップページ | 比憎の皮肉(オズワルド&葵) »

2008年7月21日 (月)

相関の創刊( from 鋭耀&晴音)

「知ったことか。俺がてめぇに用意すんのは――戦場だけだ。帰る場所の面倒まではみねぇぞ」
「……それは、大丈夫……なんだろうな、たぶん。用意できてると思う」

---------------------------------------------------------------------------

物語にはさまざまなタイプのキャラクターがいて、それぞれが相関作って物語になっているわけなのですが。

ことさら、「主人公」を考えた場合、主人公になりやすいキャラクターってのはいるんじゃないかと思うんですよ。

で、そのひとつはぼくが思うに「魔法使いの弟子」ではないかと。

ここのタイプは物語開始時点でとにかく未熟です。
でもだからこそ成長が非常に描きやすいんですね。キャラクターのアイデンティティが「成長」を描くことに寄りかかっているっつっても過言じゃない。

さらにですね、重要な場面場面で師匠をしのぐような才能の片鱗をうかがわせます。
追い込まれた時にすごい必殺技出すとかそんなんですよね。ジャンプの主人公なんかかなりがこのタイプじゃないかなぁと。

そんな「魔法使いの弟子」が主人公の作品。

51kiyy0khsl_ss500_
神様のメモ帳
杉井 光./電撃文庫
1~3巻刊行中



とは言え主人公、カバーイラストを師匠に取られちゃってますが…。

NEET探偵事務所という風変わりな組織と係わり合いを持つことになった主人公が一つの事件を通じて成長する――簡単に言えばこれが筋です。

なにかものすごい強烈なエッジがあるわけでも、異常に強烈なキャラクターが出てくるわけでも、目からうろこの謎解きが出てくるわけでもないのですが、「決断」「実行」の大事さ、難しさを感じさせてくれる物語です。

「魔法使いの弟子」たる主人公はいくつかのシーンで決断をしていくのですが、この結果厄介ごとに巻き込まれますし、痛い目も見ます。でも腹をくくったその時ごとに確実に他のキャラクターとの強い相関を手に入れて前に進むんですね。現実においても「決断」は難しく、他人を丸ごと背負い込むこともあります。そして実行するためには大きなエネルギーを必要とします。それでも「仲間」からの不器用で暖かい態度は、そうやってでも前に進むのも悪くないと、そんな気にさせてくれる良作です。さて、一応の決着はついている本シリーズですが続刊はあるのやら。

---------------------------------------------------------------------------

か~わらないもの~さがしていた~あの日の君を忘れはしない~♪

エグエグ。

という訳で昨年のこの時期も同じようなこと書いていた気がしますが、地上波で『時をかける少女』が放映されましたね。CM見ただけでちょっとグッとくるってのはもうどうにかしないと病気ですね。DVDを持っているのでいつでもエグエグ出来るのですが、なんとブルーレイでの発売がされていた模様。購入を検討中です。再生機を持っていませんが←真性の病気です。

さて、そんな『時かけ』だけじゃなく夏はタイムトラベルの季節です。

いや、根拠はないんですけどなんか似合いませんか、夏とタイムトラベル。『時をかける少女』『サマー/タイム/トラベラー』『夏への扉』となんだか似合う気がしてるんですけど。似合いませんか。そうですか。まぁ『振り出しに戻る』は冬で『ゲイルズバーグの春を愛す』は春なんでまぁいいですよ。年中ぼくの頭がタイムトラベルでふさがってると思えばいいさ。

本題。

9784087463248


マイナス・ゼロ
広瀬正/集英社




復刊。装丁そのままで嬉しくなってきます。

日本におけるタイムトラベルの金字塔。という訳でブログ左でも紹介していたのですが、どうも長らく絶版だったらしく…

人から譲り受けて普通に読んだので知りませんでした。

本屋店頭で見かけて思わず買っちゃったのでまた旧版・新版そろってる本が増えちゃいましたが、面白いので好し。やっぱり夏はタイムトラベルの季節と実感できます。

構成はやや複雑で微妙に破綻してる気がしますがやっぱり面白いので好し。前にも書いた気がしますが、昭和の東京の物価や経済を、小道具を使うことで描写してくれて、それが「街」に確かな存在感を与えているのがすごく好きです。

48歳であっさり死んじゃってたり、売れない時期が長かったりで色々不遇な人なのですが、まぁもう少し生きてりゃほぼ間違いなく直木賞取ってたんだろうなぁと言ってもある程度客観的な意見でしょう。タイムトラベルの先駆者というだけでなくなんだかその生涯を眺めてみても個人的に強く肩入れをしている小説家です。

『広瀬正・小説全集・1』と銘打たれているのが証明するように、全部で6巻、毎月刊行される様子で、いや嬉しくなりますね。この夏のオススメの一冊です。

解説は星新一が担当してました。これまたすでに鬼籍。アーサー・C・クラークも3月に死んじゃいましたし、まぁSFも寂しくなりやさぁね。

|

« 希望の軌道( from 晴音&香緒美) | トップページ | 比憎の皮肉(オズワルド&葵) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/109131/41927879

この記事へのトラックバック一覧です: 相関の創刊( from 鋭耀&晴音):

« 希望の軌道( from 晴音&香緒美) | トップページ | 比憎の皮肉(オズワルド&葵) »