« 2008年6月 | トップページ | 2008年8月 »

2008年7月21日 (月)

相関の創刊( from 鋭耀&晴音)

「知ったことか。俺がてめぇに用意すんのは――戦場だけだ。帰る場所の面倒まではみねぇぞ」
「……それは、大丈夫……なんだろうな、たぶん。用意できてると思う」

---------------------------------------------------------------------------

物語にはさまざまなタイプのキャラクターがいて、それぞれが相関作って物語になっているわけなのですが。

ことさら、「主人公」を考えた場合、主人公になりやすいキャラクターってのはいるんじゃないかと思うんですよ。

で、そのひとつはぼくが思うに「魔法使いの弟子」ではないかと。

ここのタイプは物語開始時点でとにかく未熟です。
でもだからこそ成長が非常に描きやすいんですね。キャラクターのアイデンティティが「成長」を描くことに寄りかかっているっつっても過言じゃない。

さらにですね、重要な場面場面で師匠をしのぐような才能の片鱗をうかがわせます。
追い込まれた時にすごい必殺技出すとかそんなんですよね。ジャンプの主人公なんかかなりがこのタイプじゃないかなぁと。

そんな「魔法使いの弟子」が主人公の作品。

51kiyy0khsl_ss500_
神様のメモ帳
杉井 光./電撃文庫
1~3巻刊行中



とは言え主人公、カバーイラストを師匠に取られちゃってますが…。

NEET探偵事務所という風変わりな組織と係わり合いを持つことになった主人公が一つの事件を通じて成長する――簡単に言えばこれが筋です。

なにかものすごい強烈なエッジがあるわけでも、異常に強烈なキャラクターが出てくるわけでも、目からうろこの謎解きが出てくるわけでもないのですが、「決断」「実行」の大事さ、難しさを感じさせてくれる物語です。

「魔法使いの弟子」たる主人公はいくつかのシーンで決断をしていくのですが、この結果厄介ごとに巻き込まれますし、痛い目も見ます。でも腹をくくったその時ごとに確実に他のキャラクターとの強い相関を手に入れて前に進むんですね。現実においても「決断」は難しく、他人を丸ごと背負い込むこともあります。そして実行するためには大きなエネルギーを必要とします。それでも「仲間」からの不器用で暖かい態度は、そうやってでも前に進むのも悪くないと、そんな気にさせてくれる良作です。さて、一応の決着はついている本シリーズですが続刊はあるのやら。

---------------------------------------------------------------------------

か~わらないもの~さがしていた~あの日の君を忘れはしない~♪

エグエグ。

という訳で昨年のこの時期も同じようなこと書いていた気がしますが、地上波で『時をかける少女』が放映されましたね。CM見ただけでちょっとグッとくるってのはもうどうにかしないと病気ですね。DVDを持っているのでいつでもエグエグ出来るのですが、なんとブルーレイでの発売がされていた模様。購入を検討中です。再生機を持っていませんが←真性の病気です。

さて、そんな『時かけ』だけじゃなく夏はタイムトラベルの季節です。

いや、根拠はないんですけどなんか似合いませんか、夏とタイムトラベル。『時をかける少女』『サマー/タイム/トラベラー』『夏への扉』となんだか似合う気がしてるんですけど。似合いませんか。そうですか。まぁ『振り出しに戻る』は冬で『ゲイルズバーグの春を愛す』は春なんでまぁいいですよ。年中ぼくの頭がタイムトラベルでふさがってると思えばいいさ。

本題。

9784087463248


マイナス・ゼロ
広瀬正/集英社




復刊。装丁そのままで嬉しくなってきます。

日本におけるタイムトラベルの金字塔。という訳でブログ左でも紹介していたのですが、どうも長らく絶版だったらしく…

人から譲り受けて普通に読んだので知りませんでした。

本屋店頭で見かけて思わず買っちゃったのでまた旧版・新版そろってる本が増えちゃいましたが、面白いので好し。やっぱり夏はタイムトラベルの季節と実感できます。

構成はやや複雑で微妙に破綻してる気がしますがやっぱり面白いので好し。前にも書いた気がしますが、昭和の東京の物価や経済を、小道具を使うことで描写してくれて、それが「街」に確かな存在感を与えているのがすごく好きです。

48歳であっさり死んじゃってたり、売れない時期が長かったりで色々不遇な人なのですが、まぁもう少し生きてりゃほぼ間違いなく直木賞取ってたんだろうなぁと言ってもある程度客観的な意見でしょう。タイムトラベルの先駆者というだけでなくなんだかその生涯を眺めてみても個人的に強く肩入れをしている小説家です。

『広瀬正・小説全集・1』と銘打たれているのが証明するように、全部で6巻、毎月刊行される様子で、いや嬉しくなりますね。この夏のオススメの一冊です。

解説は星新一が担当してました。これまたすでに鬼籍。アーサー・C・クラークも3月に死んじゃいましたし、まぁSFも寂しくなりやさぁね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月13日 (日)

希望の軌道( from 晴音&香緒美)

「出会えたことの奇跡に感謝するより、出会ってしまったことでいつか別れなければならない未来に怯えてる。いつだってそうなんだ」
「弱虫。でもいいよ。『ずっと』なんて言ってあげないけど――その時が来たら、一緒に傷ついてあげる」

---------------------------------------------------------------------------

おあー、死んでるかと思ったー。

どうも、夢幻燈本舗です。

フッ、ぼくは夢幻燈本舗ではなくて夢幻燈本舗のモキチだと問いたげな目だね。捨てておきたまえ、そんな形而上学的な疑問は。結局個は全なら全は個なのさ。

さて、初っ端からどうかしてるモキチさんな訳ですが、お元気だったでしょうか。ぼくはと言えばこの通り。

「ちょっとこの書類片つけといて」
「感知できません、ロストします!」

で、退社時刻になるなり、「全艦回頭! 当海域を離脱するぞ!」と叫んで一端帰還しようとするも魚雷に注意して索敵を続けられる日々です。
きっと沈降する日も近いんでしょうねぇ。

『2027』は良曲揃いなのでさっさとサントラを出せばいいのになぁ。


Photo


ダークバイオレッツ/三上延(電撃文庫)
全7巻




読んでた本の感想など。

なんせ最近の本はさっさと絶版しちゃうので、仕方なく新古屋まわってジワジワ集めてシリーズ七冊コンプリート。たった2、3年前に完結したばっかのシリーズなんですけどね。

電撃文庫のホラーと言えば甲田学人「Missing」シリーズがあって、あれは挿絵とも相まって幻想的で好きなのですが、こちら「ダークバイオレッツ」もまたひっじょーによく出来たホラーです。

敵である「常世の怪物」の前に基本的に主人公達は無力。唯一の対抗手段はヒロインが持っているのだけれど、その能力は行使すればするほどヒロインの身体を蝕んでいくので、さぁどうする?

根本にあるものはラヴクラフトの「クトゥルー」シリーズと同種の恐怖(異界の怪物への対抗手段が書かれた書物『ネクロノミコン』。でもそれを読むと少しずつ狂っていき、最後は発狂する)というなのだろうと思うのですが、それを「戦うためには力を使わねばならないけどそうすればヒロインを危険にさらす」という葛藤につなげ、「どうするどうなる?」の気持ちを揺さぶったのがよかったなぁと思います。
後は主人公の周囲の人たちの強さ、日常の横にも恐怖は転がってるってことを丁寧に書ききってジワジワと余韻にひたらせてくれたのがよかったですね。
どうにもならないことをどうにかしようとするキャラクター達はすばらしく、それだけで全てがどうにかなるほど世界は甘くはなく、でも足掻いたからこそ希望は費えない。そういうこと。

---------------------------------------------------------------------------

M0354984201


『PIED PIPER』
the pillows



ニューアルバム発売。

良いじゃない良いじゃない。

「連れてってやるよ、この先に」って背中向けて片腕突き上げてるイメージと「俺は行くよ。さぁ、お前はどうする?」って掌差し伸べてるイメージ。それが同居してる感じ。シングル「New Animal」以降、the pillowsお得意のジワジワ良くなるスルメサウンドの、でもちゃんと新しい感じが出ててまた嬉しくなってヘビロテです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年6月 | トップページ | 2008年8月 »